CULTURES’ BackPacker vol.6「CHiLi GiRL×宮野弦士対談〜川嶋志乃舞時代から知る親友同士のサマーロマンス計画制作秘話〜」

あたしには二つの顔があります。川嶋志乃舞とCHiLi GiRL、それぞれあたしのアイデンティティを保つのに必要不可欠な顔であり、そして表現の場です。元々は川嶋志乃舞として 2014年「紅梅センセーション」をきっかけにアーティストデビューし、ポップスの表現の場を2020年にCHiLi GiRLに切り替えました。

 

川嶋志乃舞時代にほとんどの編曲をお願いしていたのが、若き才溢れる作編曲家・宮野弦士くん。そして2019年に最後のアルバム「SUKEROKU GIRL」をリリースしてから約4年ぶりに編曲をお願いしたのが最新シングル「サマーロマンス計画」です。


2023.7.19リリース。アートワークは亀井桃ちゃん。

リンク:https://clg-tokyo.bitfan.id/contents/109279

 

 

今月は、そんな思い入れある作品について対談を特集しているCHiLi GiRL公式ファンブック「What’s LOVE SPiCE?2023.summer」の中から一部、ご紹介いたします。

 

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◆最新シングル「サマーロマンス計画」について、作曲家目線と編曲家目線でそれぞれこの曲どんな曲でしょう?

 

S:サマーロマンス計画はこの夏に向けて、ハウスとかサンバとか、何かちょっとトロピカルな風が吹く曲を作ろう!ってことをきっかけに、作曲自体は春前から長らく 準備してた曲です!詞先だった川嶋志乃舞曲と違って CHiLi GiRL曲は、”これをみんなでやりたいからそこに合う歌詞をつけよう”ってい曲先制作になってるものもあるんですよ。だから夏らしく、元気で、みんなで楽しく、っていう三拍子揃った曲を作りました。ただ、それだけ!

 

ーーーコンセプトや曲のイメージが先とはいえ、歌詞もすごく印象的だよね!

 

S:後発とはいえ、相変わらずこだわってます!自分がふんふん口ずさんだり、みんなが飲み会とかで何となく口ずさめるようなパワーのあるワードがいいなと思ったら、「サマーローマンス!計画!」になっていました。

 

ーーー曲の背景や主人公のキャライメージみたいなのはある?

 

S:等身大アラサーの自分にとって、何がロマンスだろう、逆にティーンエイジャーなウキウキ感になりすぎないで済むには?など考えて、スパイシーでチャーミングな要素を残しながら整えていきました。

ーーー宮野くんはどうでした?

 

宮:元のライブのイメージとかもあるから、こんなにがっつりクラブっぽくなると想像してなかったし、むしろいいのかな?って当初は思ってたんですけど、とはいえ生演奏想定を無理にしない方がいいだろうなとも思いましたね。ライブとか関係なく編曲をやってみてもいいかなと。

 

ーーーdemoを聴いて編曲イメージはすぐに湧いてきましたか?

 

宮:そうですね、もうなんか頭ん中でBirdなどリファレンスはいくつかすぐ出てきて。単純に俺がハウスめっちゃ好きだからってのもあるんですけど。あとはインコグニートなどのACIDJazzっぽさも。今までちょうどやってなかったラインかなって思いました。

ーーーイントロが印象的ですが、それには何かリファレンスがありましたか?

 

宮:いや、特に何か意識してしてたわけじゃないですね。イントロアイデアは、demoの段階からすげえ不安だってことを電話で川嶋が言っていて、

 

S:なんか、なんか長いしぬるいしどうしよう~~って相談はしてました…

 

宮:だったらもうアカペラから始まったら!ってことで提案しました。ラテン系音楽の中ではこんな始まり方も珍しくないにしろ、冒頭で楽器の抜くのってもしかしたら今は斬新かもね、と。

 

S:だからこの曲に関しては方向性だけ決まってて、本当に自由にあれこれ試しながら作れたので、ちょっと難しいパートも、メンバーもお客さんも多分燃える楽しさが備わった曲になったんじゃないかなと思います。

 

ーーー生で聴くのが楽しみな一曲ですね!

 

◆約6年の川嶋志乃舞による伝統芸能ポップの制作が一旦終わって、新生CHiLi GiRLができましたが、宮野くんは CHiLi GiRLをどんなアーティストだと思いますか?

S:おお、聞きたーい

 

宮:そうだねえ、より”歌の人”になったと思いますね。

 

S:おおお!嬉

 

宮:本人もすげえ言うんですよ、「あたし歌うまくなったかなあ」みたいな。笑 歌声は本質的に芯も抜け感もあるし。あとはいわゆる、キャッチコピーみたいなものを自分でブランディングとしてプロモーションしていくムーブは元々彼女に備わってるセンスもあるんだけど、自分で決めずとも後からそういう肩書きやキャッチコピーがついてきそうだなっていうというか、そういう自由さやオープンマインドさもありますね、今の CHiLi GiRLには。

 

S:(沁みてる)

 

宮:全然作り込まなくていいと思う。とはいえ伝統芸能ポップっていうのは、そういう意味では必要なワードだったと思うんだけど、自由になった結果、更に奥行きが出てたんじゃないかな。それに今は自分で、「 CHiLi GiRLってこういうものなんです~」言って回らなくても見ればすぐに魅力がわかる。

 

ーーーちなみに、 CHiLi GiRL曲だと宮野くんはどれが好きですか?

 

宮:あ~~、そうだなあ。でもやっぱ俺は分かりやすいものが好きだから「Make You, Make Me」ですかね!

S:そう言ってくれると思った。いい曲だよね!

 

ーーーこれには三味線が入ってないよね?

 

S:そう!でも三味線が無くても、みんなが良い!って言ってくれた曲。だし、メディアとかの反応も著しくて、”あたしちゃんとアーティストになった!三味線弾きのついでじゃなくてちゃんと CHiLi GiRLになれた~!”って思えた曲。だけど、三味線弾きなんです実は~、っていうとみんな三味線を聴きたそうにしてくれるから、この曲以降はだんだんScrolling GirlもOne Qも、今回のサマロマも、三味線はちょこちょこ入れるようにはしてるかな。ライブもあくまでライブだから、最近Scrolling Girlは三味線を置いて、エッセンスとしてマニピュレーションから三味線の音素材が流れるようにしてます!ハンドマイクパフォーマンスもそのおかげで幅も出てきたし、Bedroom Meeting やMake Youは良いきっかけだったのかも。

 

宮:あとねー、mogittaが好きだなあ。あれをライブで見た時に俺すげえべた褒めした気がする。

 

S:「お前マジですげえ!」って楽屋に乗り込んできたもんね!笑

宮:ライブで聞いてる印象もあるからさ、音源も良いけど油布くんのドラムの感じとかでよりグルーヴィーなノリになるじゃん。ライブ感があるのも良かったんだよな。

 

S:mogittaこそね、何にも考えないで作ってみた曲ナンバーワンかも。自分の思い出の一部をヒントに題材が出てきたけどそのほかには、チューリップに陽が射したらいいなと思って、ジャズスタンダード「SUNNY」のコード入れてみたりとかしてみたけど、とにかく何も考えないで作ってみた。それもあってこの曲が実はメンバーと一緒にやるのが一番楽しい曲かもしれない。

 

ーーーシンプルな曲だからこそメンバーの個性も出てくる曲?

 

S:出ますね!たとえばギターだとピッキングの個性とか。おファン(小林ファンキ風格)は当初テーマフレーズをほとんどダウンで弾いてたけど、作曲も一緒にいてくれたカワコウはアップやゴーストを味わい持って混ぜていたり。それをギタリスト同士で話してる姿を見るのもなんだか嬉しかったり。同じ曲を同じスタジオ内で、同じ楽器の人が話すってあんまり無いんですよね。スタジオじゃなくても、飲み会で、同じ曲を経験したドラマーやベース同士がそういうので和気藹々としてたり、CHiLi GiRL現場はそういう意味ではかなりアカデミックだしハッピー。

 

宮:確かに。一つの曲をいろんな人が演奏してるのって面白くて、例えばそれこそBank Bandとか。年によっては山木秀夫さんだったり、河村“カースケ”智康さんだったり、原曲は佐野康夫さんなんだけどこのときは…とか、そういうのって結構面白いし。

 

S:だからそれこそね、民謡的なのかも。津軽じょんがら節って一口に言っても全然違くて、”この人のじょんがら節が好き”とか、

 

宮:ジャズスタンダードもそうだし落語もそうだよね、”この人の芝浜は~”とか

 

S:そうそう!だからこの人じゃなきゃこのバンドじゃない!っていうことはないのよね、 CHiLi GiRLは。逆にそういう伝統芸能に触れてきてたからこそ、同じ曲をみんなが練習して、”俺の芝浜”みたいに、”俺のmogitta”っていうのができるのは、うちの魅力かも知れないなって思いました、今。

 

宮:メンバーの組み合わせ違いで同じ曲何回でも録っても良いかもね笑 RECを4、5回やってさ。

 

S:いいねwおそらくメンバーによってあたしの歌のフェイクとか三味線フレーズも変わってくる。

 

宮:コストカットでせーのの一発録りでも良いしね笑

 

S:あれ、その時は何で参加する???

 

宮:別に何でもいいけど、ギターかキーボードか。でもベース弾きたいな!そういや俺、川嶋サポートでベースだった時あるんすよ!笑

 

ーーーえええ!

 

S:ほんと、サポートをお願いし出した2016、7年あたりまでずっとベースだったよね笑 良いベーシストが見つからなくて、「悪いんだけどベース弾いて」って言って、半年か1年ぐらいお願いしていて。

 

宮:別に俺、本職ベーシストでもないしベースでライブしたことなかったのになぜかベースで呼ばれるっていうw

 

S:そのあとしばらくしてはるくんと出逢って、宮野はギターに戻りました笑

 

宮:ちなみにさ、俺さ、サマーロマンスですげえいいベース弾いてるよね!?

 

S:弾いてる弾いてる!笑

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ファンブックvol.3は、川嶋志乃舞〜CHiLi GiRLまでのリリース作品+限定発表曲の全曲レビューに加えて、「サマーロマンス計画」編曲を担当したShinobuの親友でもある宮野弦士氏をお迎えしての大ボリューム特集!趣味が高じてクオリティが本格的になっていくShinobu総編集の渾身の一冊。

 

◆限定発表曲およびボイスコンテンツQRコード

・LUCKY IN THE HOUSE

・Bedroom Meeting(web store限定ver)

・うん、慣性。

他、宮野弦士氏との対談中の一部など。

 

◆なぜあの作品は生まれた?天国へ行った父とのエピソードや、東京芸大時代の葛藤の中で生まれた曲など、その時のShinobuの環境下も踏まえて本人が本気レビュー!ファン必見の1冊です。

 

◆ #適切な譜面指示 でお馴染みの宮野弦士氏書き下ろしリードスコア。明るいのにどこか憂いてる、Shinobuと宮野氏とのダッグで生まれた夏の優勝曲も網羅。サマーロマンス計画を完璧にこなせたら、あなたもCLG BAND!?

 

本書内容詳細(画像付き)やお買い求めは会場物販またはCHiLi GiRL web storeから▶︎https://shinobuclg.thebase.in/

亀井桃ちゃんによるファンブックへのファンアート。嬉しい!

 

2023.8.10掲載

執筆:Shinobu Kawashima

 

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PICK UP LIVE INFORMATION

8月24日(木)CHiLi GiRL×オノマトペル 2man live「月に願いを」@青山月見ル君思フ

10月9日(月祝)CHiLi GiRL&川嶋志乃舞 mixed one-man show「LOVE SPiCE BIRTHDAY」

YouTube INFORMATION

7月22日開催CHiLi GiRL&川嶋志乃舞 mixed one-man show「LOVE SPiCE HARVOR」上演曲を続々フルムービー公開中!チャンネル登録お願いします。

CHiLi GiRL – サマーロマンス計画 Summer Romance Plan 【LIVE MOVIE】

川嶋志乃舞(CHiLi GiRL) – 花千鳥 Hana-Chidori【LIVE MOVIE】