RED HOT CHILI PEPPERSの「The Unlimited Love Tour」が東京ドーム公演にて5月18日、20日に開催。彼らは昨年2月にも来日しており、1年ちょっとのスパンで再び単独公演が決まった。今回は東京公演のみ、「ベストヒット満載のスペシャルライヴ」と銘打たれ、18日はソールド、20日もドーム天井まで隙間なく観客で埋め尽くされている。改めて、レッチリの絶大なる人気の高さを思い知った。ここでは20日公演の模様をレポートしたい。
開演19時ほぼジャストに暗転するや、堰を切ったように歓声はどよめき、ジョン・フルシアンテ(G)、フリー(B)、チャド・スミス(Dr)の3人による恒例のジャムでスタート。お互いの息遣いを探りつつ、徐々に呼吸を合わせ、演奏は加速度をグングンと上げていく。単なる準備体操ではない、これも一つのショウだと認識させる緊張感が迸る。そんな圧巻の助走を経て、1曲目は「Around the World」で始まった。アンソニー・キーディス(Vo)がステージ中央に駆け寄って歌い上げた瞬間、女性の黄色い声を含めて歓声はひときわ大きくなり、穏やかな声色にバチバチのアンサンブルが重なると、耳馴染みの深い楽曲に会場はお祭り騒ぎと化した。
「Dani California」に入ると、ポップな歌メロに誘発されて観客は手を上げてシンガロングする。もはや”みんなのうた”状態である。「アイ・ラブ・ユー、ジャパン!」とフリーが挨拶代わりに叫ぶと、次は「The Zephyr Song」を披露。アンソニーの歌声とジョンのコーラスは相性バッチリで、メロウネスを一段と深めていく。もちろんジョンの枯れたギターは泣きまくり、楽曲の情感を高めていった。
「Here Ever After」ではアンソニーはマイクを両手でしっかり握り締めたまま、ラップとメロディを巧みに切り替え、川の流れのように淀みなく聴かせる。それから映画『デスノート』主題歌「Snow(Hey Oh)」へ。イントロから熱い歓声が沸き、「ウォー!ウォー!」の大合唱へと観客を導く。派手さはないが、それを補って余りある滋味豊かな王道ロックに酔いしれてしまう。甘美な歌メロに心を奪われながら、後半は楽器陣3人の鉄壁のアンサンブルで観客を昇天させた。
「Eddie」ではジョンの桃源郷的なギター・サウンドがドームを包み、それをフリーとチャドのリズム隊が強固に支える。この曲におけるインスト・パートは人間味溢れるグルーヴに溢れ、生々しい衝動を吐き出していた。心の中で「素晴らしい!」と連呼する自分がいた。中盤に「Hard to Concentrate」、「I Like Dirt」と挟み、「Parallel Universe」に移ると、フリーの饒舌なベース・フレーズにも聴き惚れるばかりだ。
「Reach Out」を経て、アンソニーが上半身裸になると、「Suck My Kiss」を解き放つ。弾力性に富むファンクネスに観客も熱狂し、頭をカラッポにして身を委ねたくなるかっこ良さ。ショウも後半に差し掛かると、鍵盤奏者入りで「Californication」が披露され、ジョンのコーラスはここでも冴え渡る。本編は残すところ2曲となり、「Back Summer」からの「By the Way」でドームを狂喜の宴に様変わりさせた。
メンバー4人がステージから捌けると、スクリーンは会場に集まった観客を映し出す。「(アンソニーと)SAME TATOO」と書かれた紙と共に右腕を突き出す男性、「FROM AUSTRALIA」のフラッグを掲げた外国人客、また、「レッチリさいこー」と日本語のプラカードを上げる人もいて、愛情表現も人それぞれ。しかし、「老若男女」という言葉がピッタリ当てはまるほど年齢層は幅広く、誰もが一様に熱狂的なのだ。そのムードこそが、レッチリ=メインストリームのロック・バンドであることを物語っていた。
そして、アンコール一発目はジョンがアルペジオを爪弾き、バン初のヒット曲となった「Under the Bridge」へ。すると、ドームはケータイの光に包まれ、静謐なバラードに大勢の人が心酔。トドメは「Give It Away」で再びお祭り騒ぎとなり、1時間40分に及ぶショウは幕を閉じた。ファンク色の強いミクスチャーから静かなバラード、さらにど真ん中の王道ロックまで、ファンが聴きたい曲を惜しげもなくやり尽くしたレッチリ。初日の18日公演と比べて、10曲(!)もセットリストを替えたが、「ベストヒット満載」の看板にウソ偽りない濃厚な選曲だった。何より観客はアッパーだろうと、メロウな曲だろうと、微塵もテンションは落ちることなく、曲が始まるたびに凄まじいリアクションが起きていた。ジョン以外のメンバー3人は還暦を超えた年齢にもかかわらず、パフォーマンス面においてはロック・スター然とした輝きをずっと放ち続けていたことも驚嘆に値する。キッズから年配の方まで全世代を歓喜に導くレッチリは、今がバンド史上最強ではないかと思いたくなる。いくら絶賛しても足りないほど素晴らしいショウであった。 (荒金良介)
2024年の来日公演のセットリストのプレイリストを只今公開中!
<セットリスト>
2024年5月20日(月)
東京ドーム公演
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Around the World
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Dani California
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The Zephyr Song
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Here Ever After
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Snow(Hey Oh)
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Eddie
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Hard to Concentrate
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I Like Dirt
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Parallel Universe
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Reach Out
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Suck My Kiss
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Californication
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Back Summer
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By the Way
アンコール
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Under the Bridge
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Give It Away
【リリース情報】
■アルバム情報
アーティスト:Red Hot Chili Peppers / レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
アルバムタイトル:Unlimited Love Unlimited Love / アンリミテッド・ラヴ
リリース:2022年4月1日(金)
※国内盤CD ボーナス・トラック1曲追加収録 ¥2,860(税込)/WPCR-18503
<トラックリスト>
1. Black Summer / ブラック・サマー
2. Here Ever After / ヒア・エヴァー・アフター
3. Aquatic Mouth Dance / アクアティック・マウス・ダンス
4. Not the One / ノット・ジ・ワン
5. Poster Child / ポスター・チャイルド
6. The Great Apes / ザ・グレイト・エイプス
7. It’s Only Natural / イッツ・オンリー・ナチュラル
8. She’s A Lover / シーズ・ア・ラヴァー
9. These Are the Ways / ジーズ・アー・ザ・ウェイズ
10. Whatchu Thinkin’ / ワッチュ・シンキング
11. Bastards of Light / バスタード・オブ・ライト
12. White Braids & Pillow Chair / ホワイト・ブレイズ・アンド・ピロー・チェアー
13. One Way Traffic / ワン・ウェイ・トラフィック
14. Veronica / ヴェロニカ
15. Let ‘Em Cry / レット・エム・クライ
16. The Heavy Wing / ザ・ヘヴィ・ウィング
17. Tangelo / タンジェロ
18. Nerve Flip / ナーヴ・フリップ ※日本盤ボーナス・トラック
■アルバム情報
アーティスト:Red Hot Chili Peppers / レッド・ホット・チリ・ペッパーズ
アルバム:Return of the Dream Canteen / リターン・オブ・ザ・ドリーム・カンティーン
リリース:2022年10月14日(金)全世界同時リリース
国内盤CD情報:WPCR-18503 / ¥2,860(税込)
<トラックリスト>
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Tippa My Tongue / ティッパ・マイ・タング
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Peace And Love / ピース・アンド・ラヴ
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Reach Out / リーチ・アウト
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Eddie / エディ
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Fake As Fu@k / フェイク・アズ・ファック
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Bella / ベラ
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Roulette / ルーレット
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My Cigarette / マイ・シガレット
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Afterlife / アフターライフ
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Shoot Me A Smile / シュート・ミー・ア・スマイル
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Handful / ハンドフル
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The Drummer / ザ・ドラマー
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Bag Of Grins / バッグ・オブ・グリンズ
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La La La La La La La La / ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ・ラ
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Copperbelly / カッパーべリー
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Carry Me Home / キャリー・ミー・ホーム
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In The Snow / イン・ザ・スノウ
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The Shape I’m Takin’ / ザ・シェイプ・アイム・ テイキン※国内盤ボーナス・トラック
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