20杯目 「ふく男」

松原「ホント君と話していると楽しいよ。」

女「わたしもよ。松原君ってお話上手ね。」

松原「でも正直言うと俺はもう、はなしたくないんだ。」

女「ええ?ひどいっ!どうしてよ!」

松原「もう君を離したくないんだ。」

 

寒空の二人には心のカイロがポカポカと暖めてくれる。
そんな幸福を手に入れた松原はもう一つ手に入れたい福があった…

それは西宮(えびす)神社の福男だ!

 

 

みんな、知ってる?
朝早朝の開門にみんなが徹夜で待ち、開くと同時にダッシュで走り境内に一番に着いた男が福男となる。

 

 

TVで見た事あるよね?なので神戸の福男・松原としては走るっきゃないでしょ?
ということで壮絶な打ち上げを終え、深夜4時に西宮へ迎う。松原の福男はもう始まっている。

神社に着くとすでに報道の人間は待機し、血走った男たちの凄い行列。そこにちょうどレポーターの中継がはいる。我々の本当の目的はそこである。 全力で映りこみカメラマンからマヂ説教を受けながらも『ナチス!ナチスドイツ!』と放送禁止用語っぽい言葉を叫ぶ。散々叫んで報道マンから睨まれたところで我々は最前列へ迎う。

 

『すみません!妊婦が通ります。ちょっとすみません!』

 

どう考えても妊婦がココにいるのはおかしいのに意外と道を空けてくれる皆さん。なんと最前列に来てしまい開門を待つラッキーな松原はもうすでに福男だ。

そしてついに開門! 一斉に走りだす男たち。

当然埋もれずTVに映る為に松原はMUNASEAというヴィジュアル系の格好でマイクにラジカセを持ちLUNASEAを歌いながら走る。不幸男・スタッフ風次もヴィジュアル系の格好でチリトリとホウキを持ち、掃き掃除をしながら走る!すぐ後ろにはスタッフ原がチャイルドシートで敵を妨害しながら走る!その横にはPAコウタは福男になる為に江頭2:50のコスプレで上半身裸で走る。彼は福男を服男と勘違いしているようだ。

 

そんな様々な格好で、みな全力で境内をめざす。
その上、我々はTV的な絵を考えているので一枚上手だ。

 

 

途中大きなカーブゾーンがあり、ここで転ける奴が多くカメラがうんさか!
頭の回転の速い松原はココで服男を諦め、スロウモーションでカメラのみにターゲットを合わせた走りに変える。

案の定、チーム太陽と虎は誰も福男になれずあっけなく終わってしまう。しかし納得のいかない我々の反撃が始まる。

 

『セーブザアース!一番を決めるから争いが起きるのだ!こんな試合やめろ!』と抗議デモを起こす。 が、同志はなかなか集まらない…

そしてまさかの風次はいきなり福男のマネージャーになり現場を仕切りだす。当然福男も意味もわからず困っているがTV局のインタビュー待ちの導線を管理しだす。あまりにテキパキしすぎて誰も注意出来ない様子。

一方、PAのコウタは1月の寒さに素足、裸でもう凍え死にそうだが、酒を飲み体を温めて、手当たり次第で巫女さんに絡みだし、怒られている…

しかしあまりにうるさいのでMBSさんがしょうがなくインタビューしてくれて、満足の松原だがコウタがまた後ろで『ナチス!』と叫び、収録が長引く…

ただコウタはもう意識がもうろうとなっている。裸でもう3時間になるので当然だ。しょうがないのでとりあえず、せめてコウタだけでも服男にさせるために、西宮神社を後にするチーム太陽と虎。

来年こそは福男奪還! そしてこう言うのだ!

『返上します。もうこんな醜い争いの起きない様に…』

最高でも福!最低でも福! でも今、一番必要なのは「服」!
やっぱり服が一番!

-2006/02/05 update-