GAGAFEST ✕ オフィス不知火 共同企画 Featuring 「36on – スリーロックオン」【ライブレポート】

8月18日心斎橋FootRock&BEERSにて、GAGAFEST ✕ オフィス不知火共同企画Featuring 「36on – スリーロックオン」が開催された。

 

会場に入るといつもの心斎橋FootRock&BEERSとは異なる景色が広がっていた。観客席にバンドセットが設置されている。そこをイベントを期待するまなざしで観客たちがぐるりと囲んでいく。今回のイベントは、GAGAFEST ✕ オフィス不知火  ✕ 「36on – スリーロックオン」の3つのイベントがコラボしたもの。

 

「36on – スリーロックオン」が心斎橋FootRock&BEERSで開催されることは今回が初めて。「36on – スリーロックオン」とは、当日ご来場のお客様と、配信チケットをご購入のお客様に、当日撮影した360°ライブVR動画の公開サイトのURLとパスワードを特典としてプレゼントする、ライブ当日も後日もライブを楽しんで頂けるというコンセプトの、新感覚ライブイベント。

36on.net

モニターやプロジェクターが周囲を囲み、独自の世界観が作られていく。そんな新たな試みが詰まったイベントがスタートした。

 

marvel in vain

イベントのトップを務めるのは、「あなたの人生のサウンドトラックに」をテーマに活動中のmarvel in vain。今回はベースが欠席をしていることもありアコースティック体制での出演。1曲目は、「絵空事」。アコギの音色と心に響く歌声。そこにエレキギターの音色が彩りを与え、海の映像に囲まれてより曲の世界に入り込んでいく。
『みんな向かいあわせで、同じ場所にエネルギーが集まってるように感じられます』とVo&Gt.平田勇也が普段のライブとは違った景色に喜びと緊張を語る。

続いては、「水たまり」を披露。ボーカルの歌声で静かに始まり、サビに向かうにつれてカホンエレキギターサウンドが盛り上がり、場内の空気感を作り上げていく。そんな観客たちの感情を表現するかのように周囲を囲むモニターには青く幻想的な映像が広がっていた。

 

『恋人が死んだ、そんな曲です。』と「流星群の夜」を披露。神秘的なギターの音色から曲は徐々に明るくなっていきバンドサウンドが強くなる。ハイトーンボイスで歌われる切ない思いが心の中にスーッと入り込んでいく。
『普段ない形態での披露ということもあり、楽しくもありドキドキもしています。』緊張しながらもバンドの練習スタイルに似ていることもあり、楽しさもあると伝えてる姿は笑顔で楽しさが伝わってきた。

『可愛い曲ですね!初恋メロンソーダ!』これまでと雰囲気を変えて、リズミカルでポップなメロディ。メロンソーダのようにポップに弾けた映像達が周囲を囲むライブステージはまるでMVの撮影に参加しているかのよう。
最後は、罪と罰と大雨の歌「ツバメ」。空を飛び回るようなツバメを彷彿させるギターのイントロ。哀愁のあるメロディが心をグッとくる。いつもの彼らとは全く違うスタイルの体制のライブだったからこそ見えた景色もあったのだろう。今回のイベントのスタートを見事に飾ってくれた。

 

セットリスト
1.絵空事
2.水たまり
3.流星群の夜
4.初恋メロンソーダ
5.環状線
6.ツバメ

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miyabi-gt(s:cod)

通常メインステージとなる場所は今回転換ステージとしてアコースティックライブが行われる。アコースティックステージの1組目を飾るのは、miyabi-gt(s:cod)。

疾走感のあるギターのサウンドを聞いて、会場は自然と手拍子をとる。色気のあるかっこいい歌声とアップテンポのサウンドで空気感を作り上げていく。1曲目に披露された「detox」はアニメのオープニングで使われていてもおかしくないようなメロディ。
『特殊な会場だったので、入った瞬間戸惑いました!今回は10分の2ステージです。みなさんが楽しい夜になりますように。』ギターに合わせて『手拍子!』と煽り、彼のギターのカッティングに合わせて会場は手拍子で一つになる。踊るようにギターを演奏する彼の姿からはライブを楽しんでいる様子が伝わってくる。10分間という短い尺の中で存在感を出し盛り上げてくれた。

セットリスト
1.detox
2.continue

Cwondo

ガレージロックバンド、No Buses(ノーバシーズ)のフロントマンでもある近藤大彗のソロプロジェクトCwondo。音だけで、会場の空気を一気に変える。『近づいて聞いてもらっても大丈夫ですよ。』音が重なり合い、1つの世界を作り込んでいく。胸の鼓動、雨の降る様子、音が音を塗り替えて、また新たなサウンドへと変化する。体を揺さぶり、まるで踊っているかのように音作りを行っていく。変わり続けるサウンドは聞いている人達の心地良さと高揚感を両立させる。
スピードを上げ、広がり続けるサウンド。そして、リズムよくビートを刻み、一つの音として彼の歌声がミックスされていく。まるで近未来に来たかと錯覚してしまうような映像に囲まれて時間を忘れるくらい楽しませてくれる。

クラッチをいれて雰囲気をがらりと変えて、幻想的な空間に送り込まれたような感覚に。森の中足音が響き、鳥たちは鳴き、不気味な森の中を冒険しているかのよう。幻想感あふれる音楽から徐々にテイストを変えていき、会場の観客たちの体は踊り出していく。

 

『Cwondoです!よろしくお願いします!今日も暑かったんで水をのんでください。今僕がなんていったかわかりましたか?』囁くような声からは優しさを感じ取ることができた。一緒に出演をしているJunIzawaとツアー中で今回のイベントに参加をしたCwondo。『今後、曲を聞いてくれたら嬉しいです!』ギターの音色にのせて、囁くように歌う。ビートが重なり、場内に音が響き渡っていく。先程の歌声を一つのサウンドに変えて音を作り上げていく。リフレインする歌声から華麗に曲を展開していく。曲のミックス、DJ、制作、多くの技術が重なり合い、空間を作り上げていく。彼が作り出すサウンドは、頭では理解できないくらいどんどん変化していく。だが身体は、その変化を楽しさと踊りに変えてくれる。その感覚は人間の本能が音楽を楽しんでいるかのように。

 

『あと2曲!』アップテンポのリズムに身体は自然と踊りだす。また一味違う場内に響く様々な音たちに麻薬のような快楽を覚える。そんなサウンドの重なりに中毒性を求めてしまう。最後はリズミカルであり、エモーショナルなメロディを挟み、曲の世界観に入り込ませてくれる。かと思えばシャウトを入れてラウド感満載になっていく。音の無限の可能性を見せつけてくれる素晴らしいライブパフォーマンスとなった。

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木挽真典

アコースティックステージに続いて登場したのは、木挽真典。幕が開き、ギターの弦をゆっくりはじき、暗闇の中座りながら登場。先程までのフロアの雰囲気から大きく変化して、歌謡曲を歌いあげる。1曲目「in the dark」はシンプルなギター1本の音色がまっすぐであたたかい彼の歌声によって心の旋律に届いていく。
続いて、「ランプ」では独自性のある歌声が作り出す哀愁と懐かしさ。ギターの音色と共に会場1人1人の心に届けてくれた。今回のイベントのジャンルの振れ幅を大きく感じさせる流れとも言えるだろう。

セットリスト
1.in the dark
2.ランプ

 

JunIzawa

インストロックバンド「LITE」のベーシストでもあるJunIzawa。『久しぶりに帰ってきました!どこにいても大丈夫なので見やすいところで楽しんでください。ぶっ続けてやります!よろしくお願いします!』モニターには、映画が始まったかのような会話をしている映像が映る。徐々に映像は変化していき、変化と共に曲も作り込まれていく。リズムに乗りながら、ベースを生演奏。音の厚みを感じられながらも体を揺らしたくなるベースライン。サウンドと連動した映像の世界観。そんなサウンドの変化に会場は体を揺らす人たちが増えていく。音が止んだと思ったらどこか懐かしさを感じさせるシンセの音色と心の奥底からゆさぶられるベースライン。どんどん激しさを増していき、テンポアップ。電子サウンドと共に鳴り響く生演奏のベースとサウンドの二つの音が重なり合っていく。先程まで歌謡曲が響き渡っていた会場とは思えない。続いて、「INSIDE」では水中の奥深くに沈んでいくように世界を変えていく。

 

『ここから最後まで盛り上げていくので応援をお願いします!みんなで暴れていきましょう!』と「AUTOMATA」を披露。一気に雰囲気は変わり激しいサウンドで会場のボルテージはどんどんあがっていく。スクリーンの【1・2】の合図が現れるとベースを激しく奏でていく。そんなベースのサウンドを聞いているとこれまで以上に身体は熱くなっていく。音の変化とスクリーンの【1・2】の合図で曲は何度も盛り上がりをみせていく。リズムにのせて、変化するスクリーンの映像には、ロボットが映る。アップデートしたかのような映像の後にベースを演奏する姿はスターそのもの。映像、生演奏、打ち込み、会場の空気感、全てを自身で作りこむ。弾け出すように演奏するベース。なにもかも圧倒されるステージで異空間に迷い込んだかのようだ。ベースの音色で心も体も踊り狂いたくなるようなサウンドで最高潮に。

先程最高のステージを見せたCwondoが登場。共作「ROLLIN」を作り上げていく。卵が割れていくような映像をバックにCwondoの歌声とJunIzawaのベースラインが重なり合い、最高のコラボを見せつける。2人の才能がぶつかり合った時間となった。
最後の曲、「Fubuku」では柔らかな雪の降る中メロディを奏でるベース。ギターの音も入り、電子的なサウンドが雪が降り荒れるイメージをさせる。これまでの楽曲とはまた違う感傷的な気持ちになれる音色たちの共演。異空間にいるかのような最高のステージをみせてくれた。

セットリスト
1.Last
2.I’s
3.INSIDE
4.AUTOMATA
5.Blink
6.D
7.ROLLIN
8.Fubuku

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miyabi-gt(s:cod)

miyabi-gt(s:cod)が再度ステージに登場。『ガンガン上がるセトリを組んできましたが、会場が盛り上がっているのでアコースティックの曲を歌います!』と「星砂」を披露。
穏やかな気持ちになれるアコースティックギターの音色。バックの温かい照明と彼の優しい歌声で歌詞が心にスーッと入り込んでいく。
『呼んでいただきありがとうございました!2回も登場出来て嬉しいです。』もともとラウドロックでやっていたが、最近は弾き語りを中心に活動をしているmiyabi-gt(s:cod)。最後に「crescent」を披露。掻き鳴らすギターの音色と会場の手拍子で明るく楽しいステージ。ギター1本とは思えないかっこいいメロディにシャウトをきかせて、踊りながらギターを弾く姿は、ラウドロック時代の名残を感じられた。

セットリスト
1.星砂
2.crescent

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夕刊とキャラメル

大阪シューゲイザー鬱ロック、夕刊とキャラメル。暗闇の中SEが会場内に響き渡る。「午前3時」からライブはスタート。エモーショナルなギターのサウンド。ドラムのリズム。gt.vo わたぬきの泣き叫ぶような歌声。彼女たちの音楽の独自性を表すかのように独特な映像がスクリーンに映し出される。力強くたたき割るようなドラムのリズムで胸に鼓動を打つかのように入り込んでいく。転調をしてリズムアップしていくバンドサウンドが走り抜けていく。『さっきまではお酒飲みながら楽しい感じの音楽やってましたが、お酒で楽しくさせる気は無いので音楽できもちよくなってください。』
続いて「天上世界」を披露。アダルトでスパイスを漂わせるような歌声、ベースラインが存在感を放つ。一つ一つの音が存在感を出し始めて会場を支配していく。「あってない日々」では浮遊感のあるサウンドはクセになり、途中から一気にテンポをかえて激しさを増していく。1曲の中で様々な変化をみせていく。

『Cwondoさんや井澤さんが盛り上げてくれてお酒が美味しかったです。その空間を自分たちで落とすのが快感になるので狙い通り暗い感じでできて嬉しいです。次の曲はライブハウスでおったやつのことを曲にしましたシャングリラ。』
歌い出しから恨み節ではじまり、そこからのバンドサウンドがしっかりと心を掴む。一度空白の時間をつくることで曲の盛り上がりとシャングリラというワードを輝かせてくれる。
今は1人で活動をしているvo.わたぬき。サポートメンバーを迎えて夕刊とキャラメルとしてバンド活動を行っている。そんなサポートメンバーに感謝を伝えて、最後の楽曲「バッドエンド」を披露する。鳴り響くサイレンのようなギターのサウンド。鼓動を上げるドラムのリズム。ここで盛り上がって欲しい、そんな希望を叶えてくれるようなバンドサウンドの変化。激しいロックサウンドが鼓動を高鳴らせていく。異彩を放つ空気感を作り上げて会場を盛り上げてくれた。

セットリスト
1.午前3時
2.天上世界
3.あってない日々
4.シャングリラ
5.環状線
6.バッドエンド

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木挽真典

アコースティックステージの最後を飾るのは木挽真典。ギターの音色と共に味のある歌声で空気を変える。1回目のステージとはまたテイストを変えて、「cure 」では踊るようなギターの音色が曲を輝かせてくれる。『アロエを昔もらって水をあげてがんばってましたが枯らしちゃって、茶色になってしまいました。最近再度頑張ってみようと茶色いものに水をあげてみたら緑になってきました。毎日嬉しく思いながら水を上げています。』と日常のささやかな幸せを語り、「ghost flowers」を披露。哀愁あるギターの音色。【ghost flowers】と歌うサビのフレーズは気付けば心に残っていく。最後は、「スーパーマーケット」を届けてステージを後にした。様々なジャンルの音楽が立ち並ぶイベントの中、独自の世界観を届けてくれた。

セットリスト
1.cure
2.ghost flowers
3.スーパーマーケット

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shandy Wz

イベントのラストを飾るのは、shandy Wz。勢いよくドラムから始まったのは、「棄民は振り向かない」。ベースラインは際立ち、明るくポップなサウンドで一音目からすでに楽しくなっていく。スクリーンに映し出されたポップなアニメーションを背景にMVを見ているような気持ちになっていく。Ba&Cho.中川 悠稀哉が踊りながら演奏して、フロア全体をステージに変えていく。
続いて「宝の地図」。疾走感のあるメロディと個性のある歌声が会場内に幸せな空気を作り上げていく。Vo&Gt.REIJIは手拍子を促し、手拍子のリズムで会場はひとつに。ギターの音色を輝かせて走り抜けるドラムのサウンドが幸せな気持ちをを増幅させる。

 

『今回は呼んでいただきありがとうございました。』15日に本当はライブがある予定だったが台風で流れてしまったshandy Wz。今回のライブまでの期間、早くライブをしたくてしょうがなかったと語る。『夏の曲を持ってきました、燃え尽き症候群!』
熱い日差しをイメージさせるギターの音色。駆け抜けるバンドサウンドでサビでは拳を振り上げる。Ba&Cho.中川 悠稀哉は会場を走り回り、一人一人の演奏から今日を楽しみにしていたことが伝わってきた。『ここにいる全員に歌ってくれ!』Dr.ナガシマツタヤは立ち上がりドラムをたたく。会場は一気に夏フェスの空間にを変化させてくれた。
目隠しをしてドラムをするパフォーマンス。演奏の途中でトラブルがあったが持ち直して素晴らしいパフォーマンスに変えていく。『夏で思い出すのは、打ち上げ花火。ずっとキラキラしているものよりいつかなくなってしまうものに儚さを感じられます。別れや切なさにも儚さがあります。最後の曲はパレードが降る夜に。』疾走感のあるドラムのリズム。儚さ感じさせるギターソロ。イベントの最後は若くエネルギーのあるバンドが夏フェスのように会場のボルテージをあげてイベントを締め括ってくれた。

セットリスト
1.棄民は振り向かない
2.宝の地図
3.燃え尽き症候群
4.プランB
5.パレードが降る夜に

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ジャンルレスという言葉では収まらないようなアーティストたちの共演は、まるで異種格闘技。夏を感じさせる熱く楽しいイベントに多くの人が熱狂したことだろう。

 

【関係者】

不知火 (@a_starphase25) / X

GAGAFEST(ガガフェス) (@GAGAFESTIVAL) / X

(カメラマン) 石子 (いしかわ まゆ) (@bass_ishiko) / X