人の家

久しぶりに人の家に遊びに行ってから、また誰かの家に行きたくてしょうがない。遊びに行った家は、同じアイドルグループのメンバーの家だった。5年以上一緒に活動した相棒のような存在なのに、その日初めて家に足を踏み入れた。ほぼ毎日会っていてわざわざ会う予定を立てることがレアだったにしろ、家に遊びに行くことが出会ってからこんな後になってしまったのは意外だった。傲慢だとは重々承知で、彼女のことは大体知っていて、知らなかったのはほぼ家くらいだ。

 

家に入った途端、私は彼女のことを全く知らなかったと思い知った。「隅々まで見るからね!」という気色悪い宣言をして、全部屋をストップがかからない程度に見た。扉がある系は開けていいか確認しつつ、机の上、冷蔵庫の中、クローゼットの中、洗面台、隅々まで見た。「(冷蔵庫にマグネットとかメモを貼るタイプなんだ…!)」、「(玄関に傘がひと家族分くらいあるけどどういうこと…!?)」、「(こういうマグカップ使ってるんだねぇ)」と、どんな些細なことでも発見次第心の中で感動した。これまで一緒に過ごしてきた中で沢山話して、沢山同じ気持ちを共有して、顔を見れば何を考えているかお互いにわかるくらい、全部知っていると思っていたからこそ、知らないことだらけで嬉しかった。

 

小学生の頃もよく友達の家に遊びに行ったし、あの頃は出会って関係が浅い段階でも家に遊びに行くこととかもあったけど、そこまで知らない人の家の中を見ることと今回は訳が違う。ここで生活しているという痕跡の数々に私の知らない彼女の時間があった。家具とか洗濯の干し方一つでも、生活のクセや、こだわり、何が好きで何を大切にしているかが滲む。そういう生活の痕跡から人を知ることの楽しさや嬉しさは想像以上だった。いつもしっかりしている人の、少しだらしないところってかなり「萌え」だ。

 

本棚なんてあったら最高。最高とは言いつつも、その人の本質に近すぎて、触れるには容易すぎて、見てしまうことに怖さはある。何が知りたくて、何に興味があって、逆にどんな本が無いのか。SNSに流れてきたアイドルの自撮り写真とかでも、拡大すれば目視できそうな本棚が映り込んでたら大体拡大してしまう。彼女の部屋に本棚が無くて良かった。実家にはあるのかな。今更だけど、ここまでずっとめちゃくちゃ気持ち悪いことを言い続けているのは自覚しているから許してほしい。

 

綺麗で整理された部屋が見たい訳じゃない。全然知らない人のルームツアー動画も興味ない。そこそこ知っている人の、普段の、そのままの部屋に遊びに行きたい。直接的じゃなくて間接的な、細部に宿る生き様が見たい。要するに、お願いだからTwitter(現X)は人のいいね欄を前みたいに見せてくれ。そこにも人の本質が現れるから。